キンモクセイの香りって…
私はキンモクセイが好きだ。
キンモクセイは、秋の風物詩の一つ。
秋を感じさせてくれる素敵な植物である。
小さなママレード色の花が可愛い植物だ。
香りもとてもいい。
ひと嗅ぎするだけで、体いっぱいに秋の香りが広がる。
うちの庭にもあるし、大学にもキンモクセイが植えられている。
家でも学校でもこの香りが楽しめるとは、なんという贅沢さであろうか。
私は幸せを噛み締めた。
うちの家族もキンモクセイが大好き。
いくら喧嘩をしていても、キンモクセイの香りが漂ってきたら、空気が和む。
そのくらい好きだ。
そして、うちの家族はそのくらい単純だ。
まぁ、それくらいの方が幸せかもしれない。
そんな私は、昨日も、大学のバスを待ちながら、キンモクセイの香りを堪能していた。
幸せいっぱい。
なんて最高なんだ。
そんなことを考えていたら、列の後ろからこんな言葉が聞こえた。
「この匂いってさー、トイレの消臭剤だよね!」
…………。
なんということでしょう!
一瞬にして大好きだったキンモクセイの香りがトイレの消臭剤の匂いにしか感じられなくなったではありませんか!
唐突に訪れた悲劇。
一体誰がそんなことを言ったのか分からないが、若干一名の一言により、私の鼻の中はトイレになってしまった。
しかし、列が列なので誰が言ったのかも分からない。
きぃー!!
どこにぶつけたら良いのか、この悲しみを!!
そんな、印象的かつショッキングな経験をした平成最後の秋。